全法政は、教職員の合意形成を図る唯一の職種横断組織です。この性質を十分に生かして、よりより職場環境づくりを目指していきたいと考えています。
今ある労働条件は、永遠のものではありません。労働組合がないと、経営者の決定に対して正式に反対することができません。実際に、他大学では、一時金カットをはじめとする労働条件の切り下げが起こっています。その一方で、立派な施設を建設するなど一般的に見て「無駄使い」をしているケースもあります。
組合は、こうした状況を見極め、理事会と交渉し、教職員の生活と権利を守るための取り組みを続けています。しかしながら、組合に加入しない人が増えれば、組合の組織力・交渉力は低下し、活動は衰退、下手をすれば組合がなくなってしまうかもしれません。そうなると、賃金切り下げ、人員削減、多忙化、不当解雇といったことに対して、教職員は何も対処できなくなります。悩み事を相談する場所も、理事会に意見を伝える機会もなくなってしまいます。
『人間の社会がうまく動いていくためには、チェック・アンド・バランスが必要です。企業は、競争の中で生きていますから、経済効率を最大限に追求し、厳しい競争に打ち勝とうとします。これは、ある意味で当然のことです。だからこそ、人間的なゆとりを実現する組織が、その行き過ぎをチェックすることが必要なのです。その役割を担っているのが、労働組合です。「過労死」を起こさせない職場づくりなどは、まさしく労働組合の使命です。大企業の不正な行為がたびたび報道されますが、その企業の労働組合がもっとしっかりしていれば防げた行為も少なくありません。』(『労働組合Q&A 』東京南部法律事務所編、日本評論社 p.14)
「大学間競争」が激しくなり、私たちをめぐる環境は厳しさを増しています。そのようなときだからこそ、大学運営が適切に行われているか、私たちの職場は学問・研究の創造の場としてふさわしい労働環境となっているか、といったことをチェックし、理事会と交渉していくことが必要です。
「大学改革を進めているときに、組合は既得権にしがみついて改革を妨げている」と主張される方もいらっしゃいます。
確かに18歳人口の減少や大学間競争の激化に対応するための改革の努力は必要なことですし、改革を進めるためには痛みを伴うことがあるかもしれません。
しかし、その「痛み」は、合意の上のものでなければなりません。「合意」できるかどうか、教職員間での議論を尽くし、理事会と対等な立場で交渉していくことこそが、組合の役割です。こうした議論・交渉が保障され、教職員が安心して力を発揮できる大学こそ、学生もいきいきと学び、発展していくことができるのではないでしょうか。逆に、教職員を蔑ろにするような大学は、真に大学を発展させることはできない、と私たちは考えます。
組織における合意形成は、その過程において一人一人の主体的参加が不可欠です。全法政は組合員による合意形成の手続きを着実に行います。それこそが理事会の施策チェック機能足りえると考えるからです。
教職員組合は、教職員の手により自主的に運営することで私たち自身を豊かにすることができる組織です。
近年は多忙化の影響もあり、組合への参加が困難になってきていることは事実です。「職場環境が厳しくなった」とよく言われるようになりましたが、何も手を打たなければ職場環境は悪化する一方です。しかし、一人一人が問題を解決していこうという意思をもって組合に参加していけば、職場環境の改善を目指すことが出来ます。今の私たちにとって最も必要なことは、「自分たちの処遇は、自らが意識し、改善要求をしていかなければならない」という自覚です。
教職員の労働条件を、個人で改善することはできません。しかし、組合という組織に集結すれば、法律に基づいて、正々堂々と交渉や要求を行うことが出来ます。
私たちは組合の意義を常に検証しながら、教職員として魅力ある組合づくりを目指します。安心して働ける環境づくり、生活の安定、基本的人権の保障など組合活動の原則は堅持しつつ、教職員の希望に応えられるような組合活動を目指します。
よりよい大学づくりのために、一緒に取り組みませんか?